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(2021年8月)春の初めてのイベント「荘川町イルミネーション」について

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こんにちは。

 

2歳の娘が簡単には笑ってくれなくなったので、スヌーピーを股にはさむだけじゃダメなのかと落ち込んでいる「のり」です。

 

今回も長いです。

 

でも、こんな山奥の田舎町で頑張っているぼくたちの姿が、

 

日々何かを頑張っているみなさんへの「よし、明日からも頑張ろう!」といった応援のメッセージになればと思っています。

 

荘川で初のイベント「荘川町イルミネーション」

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2021年春。

桜前線が北上してきて、高山市街地の桜が満開になりはじめたころ、荘川町では「今年の桜は早いかもね」なんていう世間話の声をよく耳にするようになりました。

ぼくの住んでいる荘川町の春の風物詩といえば「荘川桜」。

今年も開花を楽しみにされていた方も多かったのではないかと思います。

移植から60年。今でも力強く咲き続けている樹齢500年の老桜のすがたは、見る人の心に希望を与えてくれます。

しかしながら、コロナ禍である今の状況では、例年の荘川桜ライトアップも人足が遠のき、みんな不要不急の外出を自粛する息苦しい日々を過ごしていました。

そんな静けさを増す春の荘川町で、とある“イベント”が芽吹こうとしていました。

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そのイベントの名は、「第1回 荘川町イルミネーション」

 

え?

荘川で?

イルミネーション??

 

そうです。

よく都会で冬の夜にやっているあのキラキラしたやつです。

ただ、イルミネーションというと「なばなの里」みたいな超絶スケールなやつを想像されてしまう方もみえるかもしれませんが、あれは予算規模が違いすぎまして・・、今回行ったイベントはそれらと比べないでいただけるとありがたいです 笑。

でも、この「荘川町イルミネーション」は、住民の有志たちがみんな忙しいながらにも集まって、冬の間から少しづつ準備を進めていたイベントなんですよ。 

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ぼくも所属している「未実会」という町民による有志の団体が、「イルミネーション実行委員会」を立ち上げ、少しだけ地域活性化につながるお手伝いをさせていただきました。

 

レポート記事はこちら↓

https://mimikai-shokawa.com/the-first-illumination-report/

 

最近では、地域活性化のために地方でも小規模なイルミネーションイベントをやっているのを目にするようになりましたよね。

並木道沿いの数本の木に装飾をこらしたものとか、駅前の一角をスポット的に飾ったものとか。

今回の「荘川町イルミネーション」もその類のイベントであることには間違いありません。

しかしながら、小規模ではあるものの、このイベントには普通のイルミネーションとは違う特徴があるのです。

 

それは、

・「有志で集まった町民」が企画運営をしている

・「200年以上の歴史的建造物が保存されている場所」で開催している

ということです。

 

 

荘川町イルミネーションの特徴①

・「有志で集まった町民」が企画運営をしている

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「イルミネーション クラウドファンディング」で検索すると、全国で行われている様々なイルミネーション企画がヒットします。

 

「被災復興のために地元に光を灯したい!」

「商店街にイルミネーションの光を!」

 

など、各地域でいろんなイルミネーションが行われているようです。ぼくはパソコンでひとつひとつのページを見させてもらったんですが、ほんとうにステキな思いが込められた企画がたくさんあることに心打たれました。

しかしながら、「地元をよくしたい!」という気持ちはみんなが持っているものだと思いますが、実際に行動をおこすとなると大きなエネルギーが必要なはずです。

「一体、どんな人がイルミネーションをやっているんだろう・・?」ぼくは気になってどんな人が主催しているかを調べてみました。

すると、主催者は「商工会議所」や「行政関係の団体」となっているイベントがほとんどでした。

そりゃそうですよね。まちを巻き込んでの大きなイベントとなると、仕事として関係してくる(自分たちの利潤につながる)大きな組織が声をあげ、主導することが合理的であることには間違いありません。

(決して、「商工会議所」や「行政関係の団体」の方が主催していることを否定しているわけではありません!ステキな思いを持って活動されているイルミネーションの企画はどれも大好きです!!今回はぼくたちの活動の立ち位置を確認するために比較しているだけです)

 

それとは違い、一般の住民の団体が主催で行われているものは、

 

青森県弘前市 元 地域おこし協力隊「米山 竜一」さん

・埼玉県戸田市 市民ボランティア団体「todakeikan」さん

香川県丸亀市 一般社団法人「赤ひげ倶楽部」さん

 

などがありました。

(違っていたら申し訳ございません)

 

どの企画もほんとうにすばらしいものばかりなんですが、ぼくがより輝いてみえてしまうのは、やっぱりこの「一般の住民の団体」が主催で行われているものだと感じました。 

だって、その方がより純粋な気持ちが伝わってくるじゃないですか。

「地元のためにみんなでがんばろう!」感が。 

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今回行った「荘川町イルミネーション」もこの「一般の住民の団体」が主催して行ったものに分類されると思います。

実際にぼくたちは、イルミネーションの企画からチラシの配布、電飾業者の手配、展示品の設営、受付まで、全ての運営をやらさせていただいたんです。 

さすがに予算はまちづくり協議会さんにご支援いただきましたが。

(まちづくり協議会の会長をはじめとするみなさまが予算編成を頑張ってくださりました。本当にありがとうございました!)

荘川の子どもたちの作品を展示することで、そのお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんも楽しんでいただけるように計画を練ったり。

荘川中学校の生徒にお声がけして、作品の展示を一緒に手伝ってもらったり。

(中学生のみんな本当にありがとう!!)

 

このイベントを企画したのが一般住民で、その目的が住民みんなの笑顔につながるものであるからこそ、より一層輝きを増しているのは間違いないでしょう。

住民による住民が作りだしたイベント。

そこにはやはり、より純粋で強い思いが込められている気がしています。


荘川町イルミネーションの特徴②

・「200年以上の歴史的建造物が保存されている場所」で開催している

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今回のイルミネーションは、200年以上前の民家が移設保存されている「荘川の里」という場所で行われました。

荘川の里」は歴史民族資料館として普段は入場料をとって営業をしている貴重な施設なのですが、今回は特別に営業時間外に無料で開放していただきました。

なぜ、この場所で開催したのかというと、ずばり町の歴史や文化という「価値」が眠っている場所だったからです。

「価値」の本質は「希少性」です。ダイヤモンドはなぜ価値があるのかというと、単純に「取れる数が少ない」からで、ダイヤモンドが普通の石と同じようにそこら中に転がっていたら何の価値も生まれていなかったと思います。

 

ここ「荘川の里」には、ここにしかない歴史や文化という「価値」が眠っています。

荘川の伝統家屋「寄棟式入母屋合掌造り」と言われる建造物だったり、建物内には当時の生活に使われていた道具などが大切に保管してあります。200年以上前の人が住んでいた家が今も残っているなんてすごいことですよね。

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これは、大企業が大金を積んでも作り出すことができない空間で、決して今からマネしようとしたって無理な話です。

「200年」という長い歳月と「荘川」という地でしか生み出すことのできない貴重な「価値」なんです。

(ちなみに、白川村の合掌造りは実際に今でもそこに人が住んでいて、町全体が歴史的資産として、現世に生きる民族資料館となっているからすごい!)

 

こんなステキな場所放っておくわけにはいきませんよね。

 

荘川」の歴史や文化というプライスレスな価値が眠っている場所。

この場所こそが他の地域で行われているイルミネーションとの差別化を図る強力な資産になっているわけです。

 

(あ、そうそう。調べていたら、1400年もの歴史がある長野県の善光寺で、今年の冬に超ハイクオリティなイルミネーションイベントが行われるようです。ちくしょー)

 

このイベントがずっと続いていくために

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「第一回 荘川町イルミネーション」は、直前に県から発表された緊急事態宣言によって急きょ点灯時間を短縮したり、天候に恵まれない日が続いたり、何かと思い通りにいかないことが続きましたが、開催期間の12日間を無事に終えることができました。

コロナ禍という状況から、直前までメンバーの中で自粛するべきかという議論がなされていたのですが、周囲の状況をみながら、受付時にしっかりと感染拡大防止の対策をとることで決行しようと判断させていただきました。

 

そして、こんな状況だからこそ少しでも町が元気になってほしいという思いもありました。

 

結果、累計743人の方にご来場いただくことができたということは、このイベントをやらせていただいたぼくたちにとって何よりの励みとなりました。たくさんの方々にご来場いただけたことに心から感謝しております。

 

このイベントにはぼくらなりのコンセプトがありました。

そのコンセプトは、

 

荘川の未来を明るく照らす 〜未来につなぐ荘川のたからもの〜 」

 

というものです。

f:id:hikarinitsuite:20210812062142j:plain 今、町には暗いムードが漂っています。消防団も祭りも町内会も、どの地域組織もメンバーの高齢化が著しく、担い手不足が明らかに深刻化している現状がいやでも目に入ってしまうからです。

そんな中、

 

少子化や過疎化という町をおおっている暗い闇を明るく照らしたい

・コロナ禍でも町のみんなが笑顔になれるものをつくりたい

・「子どもたち」「荘川の里」といった荘川のたからものたちを輝かせたい

 

イルミネーションの光にはそんな町のみんなに向けた「希望」のメッセージが込められているのです。

この町で暮らしているとつい忘れがちなもの。

それは、先代の方々が大切に守ってきた文化だったり、この町を支えている住民のみなさんのつながりだったり、未来につなぐ命のきずなだったり。

そんな大切なものをみんなに再確認してもらいたくて開催したイルミネーションなのです。

だからこそ、このイベントが数年やって次第に終わってしまうようなものにはしたくありません。

 

じゃあ、続けていけるイベントにするためにはどうしたらいいのでしょう?

 

いろんな要素があると思いますが、ぼくは「長期的な視点をもっていること」が必要だと思っています。

ぼくが思う「荘川町イルミネーション」の方向性は「電飾の規模や品質のクオリティーで勝負しない」ということが大事だと思います。

なぜならば、こんな田舎の町の中で「品質のクオリティ」で勝負するのは無謀すぎるからです。品質のクオリティなら予算がケタ違いのなばなの里にお任せしておけばいいわけです。だとすれば、ぼくたちがやるべき方向は「物語のクオリティー」である「町民みんなで作り上げるイルミネーション」で勝負した方がよさそうです。 

町のみんなで作り上げる、未来に向けた住民みんなの願いが輝くイベントとして。その方向なら、品質のクオリティよりもこの物語性に応援や共感の支持が集まりそうです。

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というわけで、イルミネーションを続けていくための要素には、「物語のクオリティーを上げる」必要があって、そのためには、そもそも町の人たちに関心をもってもらう必要がありそうです。

 

では、町の人たちに関心をもってもらうためにはどうすればいいんでしょう?

 

一番簡単な方法は、町の人たちにこのイベントの制作を手伝っていただくことだと思います。各団体に協力を呼びかけて、願いを込めた手作りのキャンドルライトを作ってもらって会場に飾るようにするとか(未実会メンバーのアイデアです)。そうすれば自分で作ったものを見に行きたくなるじゃないですか。

また、今回のイルミネーションでとらせていただいたアンケートを読んでいるとこんな感想がありました。

 

「夜の荘川の里もいいね」

「(展示してあった)昔の写真が懐かしかったー」

「普段会えない人と会えてよかった」

 

いつもは営業していない夜の荘川の里に入れるというだけで限定感がありますし、子どもたちは単純に夜に友だちに会えるだけでワクワクしたことでしょう 笑。

今回は歴代の荘川保育園卒園児の集合写真を展示させてもらったので、自分や友人や家族の幼いころの写真を眺めて、しみじみと懐かしい気持ちに浸れたという方もみえたようです。

しばらく会っていなかった旧友の顔を久しぶりに見れて、嬉しかったという方もいたみたい。

アンケートの感想にもあったように、町の人たちがここに来てよかった!と思える理由はたくさんあったようです。だとしたらその要素を分析して、次の年にはさらに町の人たちに喜んでもらえる「居心地のよい空間」を作り出すことで満足度を高め、リピーターを増やすことができるのではないかと思っています。

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毎年成長していくイベントにするということも、またお客さんが来たくなる理由になりそうですね。
 

そんなこんなで、まずは町の人たちに関心をもってもらえるようなイベントにすること、町の人たちに慣れ親しんでいただけるイベントにすることが、これからもずっと続けていくための課題になってきそうです。

 いつかは荘川といえば「桜」と「そば」と「イルミネーション」くらいの町を代表する大きなイベントにしたいですね!

 

ちなみに・・なばなの里イルミネーションは3年連続「イルミネーションランキング」全国第1位だそうです。

〈(一社)夜景観光コンベンション・ビューロー イルミネーションアワード〉

 

ハンパねー

  

 

おもしろい明日を迎えにいこう

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今、荘川町は深刻な少子化という問題に直面しています。

人口の多い都市に住んでみえる方には実感が湧かないかもしれませんが、人口の少ない地域ほどより加速度を増して人口は減少しているのです。

限界集落」の足音が静かに背後に迫ってきている今。 

ぼくにできることを考えてみたところ、悔しいことに何一つ見つかりませんでした。 

少子化という巨大な敵に対して、ぼくはすぐに太刀打ちできる武器を何一つ持っていないのです。

だけど、今回イベントをやってみて確信をもてたことが一つあります。

 

それは、「住民のつながり」の強さです。

 

パソコン一台で稼ぐことができたり、amazonで注文すれば商品がおうちに届いたり、やろうと思えば自分一人で何でもできてしまう時代に、 

「同じ地域に住む人たちとのつながり」がどんなに強いものなのかを改めて確認することができたのです。

冬になると雪に閉ざされて集落が孤立してしまう白川郷には、『結』と『合力(コウリャク)』という文化があるそうです。

 

『結』とは「労働交換」で、

『合力』とは「見返りを求めない労働提供」。

 

「〇〇さん家の茅葺き屋根の雨漏りがひどくなってきたみたいだから、来月あたり町のみんなで葺き替えをやらまいか!」

みたいな、町の人たちみんなでやる共同労働の文化のことです。

 (こんなノリだったかは分かりませんが)

 

つまり、「地域住民が力を合わせる文化」こそが「資源の少ない厳しい環境での生存戦略」であったということです。

この白川郷とはお隣の位置関係にある荘川ですから、荘川にもちろん同じような文化があったはずです。

この集団のただ一つの共通点は「同じ地域に住んでいる」ということだけ。

仕事でつながっているわけじゃなく、同じ趣味を持つもの同士が集まっているわけでもありません。

歴史に学ぶ、ぼくたち地域コミュニティーが生き残るすべは、

 

「地域住民がみんなで力を合わせる文化」を再び構築すること。

 

これにつきると思います。

なんか、すごく当たり前のことを遠回しに説明しただけのような気がしますが 汗

今回のイベントを通してぼくは、このつながりの強さを身に染みて感じることができました。

じゃなきゃいい大人たちが、夜中にLINEでつぶやきあったり、夜遅くまで集まって話し合ったり、何も言わなくてもそれぞれが勝手に仕事を進めていたりしないでしょ。

メンバーの一人が現場の平面図を拡大コピーして、どでかい手作りの設計図を持ってきてくれたときには思わず胸にこみ上げてくるものがありました。

 

先は長くかなり険しい道のりですが、

 

つながりの強さを力にして少しづつ前に進んでいきたいと思います。

 

同じ地域に住む仲間たちと一緒に。

 

おもしろい未来を迎えにいくために。

 

イベント関係者のみなさま、ほんとうにおつかれさまでした!

 

また来年、みなさまの笑顔にお会いできることを楽しみにしています。

 

 

それではまた。